「サガラ~Sの同素体~」かわぐちかいじ

『沈黙の艦隊』から実に30年。激変した世界情勢を自分の体と作品をフィルタにして取り込むような作品を沢山描いてきたかわぐちかいじ先生も御年70歳を超え、なお一層研ぎ澄まされ、奥深い物語を構築しようとしています。

サガラというのは、今もってなお全くその正体が描かれていない男のコードネームです。警察官をしていた頃にその資質と働きを見出され、単身エルサレムに送られて5年をすごしたのちに日本に呼び戻された、その彼の役目は日本にクーデターを起こそうとしている男とそのグループの動きを探り、封じること。

対照的に、その対象者となる元陸上自衛隊三等陸佐の成瀬完治は、その素性、経歴、そして部下たちとの関係性まですべてが読み手側に詳らかにされているのです。国際情勢、そしてネットや通信機器などの最新のシステムやインフラをきちんと取り入れて、迫真に迫る勢いの深い物語を送り出してくださっています。

イランで孤立した成瀬らが、アフガニスタンへのがれていく逃避行。社会正義的には、彼らは『悪』に近い存在なのかもしれません。しかし、その真摯な思いと生き延びようとする姿は、いろいろな課題を現代に生きる私たちに突き付けているようにも思います。PRサイト:おねえさんとなつやすみ